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案山子戦記:高裁判決

       判決

1 本件控訴を棄却する。
2 控訴費用は控訴人の負担とする。

     事実及び理由

第1 当事者の求めた裁判

 1 控訴人
  
  (1) 原判決を取り消す。
  (2) (主位的請求及び予備的請求とも)
   被控訴人は,控訴人に対し,43万○○○○円及びこれに対する平成6年9月○○日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

  (3) 訴訟費用は,第1,2審とも被控訴人の負担とする。

 2 被控訴人

    主文同旨

第2  事案の概要

 1 本件は,被控訴人との間で継続的な金銭消費貸借取引をしていた控訴人が,被控訴人に対し,利息制限法所定の制限利率で計算すると過払金が発生するとして,主位的に不当利得返還請求権に基づき,その返還及び民法所定の年5分の割合による利息並びに慰謝料(民法704条後段の損害)の支払を求めるとともに,予備的に,過払であるにもかかわらず,被控訴人が控訴人に支払を請求し,控訴人から弁済を受けたことが不法行為に当たるなどとして,不法行為に基づく損害賠償請求権に基づき,上記と同額の支払を求めた事案である。
 原判決が控訴人の請求をいずれも棄却したため,控訴人が控訴した。なお,控訴人は,当審で,主位的及び予備的請求について慰謝料請求部分を減縮し,同部分は審理の対象から除外された。
 2 前提事実,争点及びこれに関する当事者の主張
  (1) (2)で原判決を補正し,3項で当審における控訴人の主張を付加するほか,原判決の「事実及び理由」欄の第2の1,2(1),(3),(4)のとおりであるから,これを引用する。
  (2) 2項6行目の「なお,」から8行目末尾までを次のとおり改める。「本件取引のうち遅くとも平成3年12月○○日以降の控訴人の借入れについては,貸付限度額,利息・遅延損害金(利息年率よりも遅延損害金年率の方が高率で,いずれも利息制限法所定の制限利率を超過する利率である。),期限の利益喪失条項(借主が約定に基づく返済を1回でも怠ったときなどには,期限の利益を喪失する。)等を定めた融資限度額設定契約(以下「基本契約」という。)に基づくものである。なお,同日から平成6年9月○○日までの控訴人の借入金額及び弁済額は,原判決別紙「利息制限法に基づく法定金利計算書」(以下「計算書」という。)記載のとおりである(争いのない事実,甲2,乙1ないし3の各1・2)」
  (3) 2頁11,12行目の「第1回口頭弁論期日」を「原審第1回口頭弁論期日」と改める。
  (4) 3頁23行目末尾の次に以下のとおり加える。
    「基本契約にある期限の利益喪失条項や延滞時重加算条項は,貸主が借主に対し返済を『暗黙のうちに強制』するものである。」
 3 当審における当事者の主張
  (主位的請求について)
  (1) 控訴人の不当利得返還請求権は消滅時効にかかるか(争点(3))
    (控訴人)
    ア 被控訴人は過払金を返還しておらず,また,控訴人と被控訴人は互いに債権債務が不存在であるとの確認をしていないから,本件取引は終了していない。
    イ 消滅時効制度は,①永続する事実状態の尊重,②時間の経過による立証の困難の回避,③権利の上に眠る者は保護されないことに存在理由があるが,①本件過払金返還請求権は,違法無効な利息制限法の制限超過利率での貸付によって生じるもので,貸金業者を保護すべき永続する事実状態がなく,②貸金業者には帳簿の保存義務があるから,立証の困難はないし,③借主は,貸金業者が違法無効な金利で貸付をしていることなどを知らないから,過払金債権があることすら知らず半ば強制的に過払金返還請求権の権利行使を抑制されており,権利の上に眠る者とはいえないから,本件不当利得返還請求権は消滅時効にかからない。
    (被控訴人)
      いずれも争う。本件取引は,平成6年9月○○日に控訴人が50万○○○○円を弁済して完済され,同日解約手続が行われているから,同日終了しているし,仮にこの解約が認められない場合でも,借入残高がない状態が3年間継続すると,その時点で自動的に期間満了となり,解約されることになっているから(乙3の2・契約条項11条1項但書),遅くとも平成9年9月○○日には自動的解約によって本件取引は終了している。
    (2) 被控訴人の消滅時効の援用は権利の濫用か
     (控訴人)
       消滅時効の主張を信義則に反するとした最高裁平成19年2月6日第3小法廷判決・民集61巻1号122頁を本件にあてはめれば,①控訴人は,過払金返還請求権を具体的な権利として取得していること,②利息制限法の制限超過部分の支払はみなし弁済が成立しない限り無効であるのに,貸主が,借主に対し,その事実を告知することなく,違法な制限超過金利を記載した貸金業の規制等に関する法律(平成18年法律115条による改正前のもの。以下「改正前貸金業法」という。)17条所定の書面や18条所定の書面を交付し,借主による過払金返還請求権の行使を妨げたこと,③借主は,②のとおり貸主から過払金返還請求権の行使を妨げられ,取引終了時まで錯誤に陥ったまま,期限の利益喪失特約のもと,事実上の強制を受けて返済を続け,約定での返済を停止する結果となる過払金返還請求ができないこと,④貸主は,過払金返還請求権が発生していることを悟られないように合法であるかのように装い,借主に領収書を交付し,請求を繰り返し,他方,借主は10年以上にわたる取引履歴を把握していないため,引直計算をする手だてがなく,過払金返還請求権を行使することは現実に期待できる状況になかったことからして,被控訴人には著しい帰責性があるから,消滅時効の援用は権利の濫用である。
      (被控訴人)
       争う。
  (予備的請求について)
 (3) 本件取引において被控訴人に不法行為が認められるか(争点(4))
   (控訴人)
    本件取引ではみなし弁済が成立しないから,被控訴人には利息制限法の制限超過部分の利息を受領する権限はないのに,被控訴人は控訴人からこれを受領しているが,被控訴人のこの行為には,①改正前貸金業法43条,利息制限法違反,②貸金業法12条の6の1号及び4号違反(民法12条2項違反)があり,違法である。
   (被控訴人)
    いずれも争う。原判決の判断に誤りはない。
第3 当裁判所の判断
 1 争点(3)(控訴人の不当利得返還請求権は消滅時効にかかるか)について
  (1) 前提事実(1)(ただし補正後のもの。以下同様とする。)並びに証拠(甲1,乙5)及び弁論の全趣旨によれば,本件取引のうち遅くとも平成3年12月○○日以降の控訴人の借入は被控訴人との間の基本契約に基づくものであること,控訴人が被控訴人に対し平成6年9月○○日,約定に基づいて計算した同日現在の利息額及び借入残元本額の合計50万○○○○円を支払い,基本契約を解約したことが認められる。基本契約の解約によって控訴人が被控訴人から借入できる根拠が消滅したことに照らすと,本件取引は平成6年9月○○日に終了したと認めるのが相当である。消滅時効は権利者が権利行使可能な時から進行するところ(民法166条1項),基本契約に基づく継続的な金銭消費貸借取引が終了した時点で借主が貸主に対する支払が過払になっていれば,借主は遅くともその時点で過払金(不当利得金)の返還請求権を行使することが可能であるから,消滅時効の起算点も取引終了時と解するのが相当である(最高裁平成21年1月22日第一小法廷判決・民集63巻1号247頁参照)。
 そうすると,控訴人主張にかかる不当利得返還請求権の消滅時効の起算点は平成6年9月○○日であるから,それから10年の経過により,消滅時効は既に完成している。
  (2) 控訴人は,被控訴人は過払金を返還しておらず,双方が互いに債権債務が不存在であるとの確認をしていないから,本件取引は終了していないと主張する。しかし,基本契約の解約により本件取引が終了したと認められることは前記(1)のとおりであり,控訴人主張の事情は,本件取引の終了に伴う清算の余地があることを示すものとはいえても,本件取引の終了自体を否定するものとはいえないから,控訴人の主張は採用できない。
 控訴人は,時効制度の趣旨からすれば,本件不当利得返還請求権は消滅時効にかからないと主張するが,前記(1)のとおり,過払金返還請求権は,遅くとも基本契約に基づく継続的な取引が終了した時点から権利を行使することが可能であるから,民法167条1項に照らし,控訴人の主張は採用できない。
  2  被控訴人の消滅時効の援用は権利の濫用か
     控訴人は,被控訴人は控訴人の過払金返還請求権の行使を妨げるなどしており,著しい帰責性があるから,被控訴人による消滅時効の援用は権利の濫用であると主張する。しかし,前記1(1)の説示に照らせば,被控訴人が控訴人の過払金返還請求権の行使を妨げたとか,控訴人が過払金返還請求権を行使することが現実に期待できる状況になかったなどとはいえないから,被控訴人に著しい帰責性があるとはいえず,被控訴人による消滅時効の援用が権利の濫用であるということはできない。控訴人の主張は採用できない。
 以上にによれば,控訴人の不当利得返還請求権は時効により消滅しているから,控訴人の主位的請求は,争点(1)を検討するまでもなく,理由がない。
  3  争点(4)(本件取引において被控訴人に不法行為が認められるか)について
  (1) 争点(4)に対する判断は,(2)において当審における控訴人の主張に対する判断を付加するほか,原判決の「事実及び理由」欄の第3の2のとおりであるから,これを引用する。
  (2) 当審における控訴人の主張に対する判断
    控訴人は,被控訴人が控訴人から利息制限法の制限超過部分の利息を受領する行為には,①改正前貸金業法43条,利息制限法違反,②貸金業法12条の6第1号及び4号違反,③信義則上の告知義務違反(民法1条2項違反)があり,違法であると主張する。
 ①について,貸主である被控訴人が借主である控訴人から,利息制限法の制限超過利率の約定利息を受領したからといって,改正前貸金業法43条や利息制限法により,上記受領行為が直ちに不法行為性を帯びるということはできない。
 ②について,貸金業法12条の6第1号,4号は平成18年法律115条による改正の際に規定されたもので,本件取引時には存在しなかったから,控訴人は,被控訴人が上記各号に相当する行為を行ったことが不法行為にあたると主張しているものと解されるところ,そのように解したとしても,本件において,被控訴人が控訴人に対し,虚偽のことを告げ,又は貸付の契約の内容のうち重要な事項を告げない行為をしたこと(貸金業法12条の6第1号に相当する行為)や,偽りその他不正又は著しく不当な行為をしたこと(同4号に相当する行為)を認めるに足りる証拠はない。
 ③について,貸主が借主から約定に従った利息の支払を受けた際に,約定利率が利息制限法の制限利率を超過しており,それが改正前貸金業法43条のみなし弁済の要件を具備していないとしても,この事実のみから直ちに,貸主に上記超過部分の利息の支払を受ける権限がない旨を借主に告知する義務が信義則上生じるということはできない。以上からして,控訴人の主張はいずれも採用できない。
 4  以上によれば,原判決は相当であり,本件控訴は理由がないからこれを棄却
   することとし,主文のとおり判決する。
     福岡高等裁判所第5民事部


        裁判長裁判官     山  口  幸  雄 
    
            裁判官      伊  藤   由 紀 子

            裁判官      桂  木  正  樹



     これは正本である。

           平成21年10月○○日

               福岡高等裁判所第5民事部

                  裁判所書記官  堤   浩 志
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